比叡山の西南麓 雲母坂付近、古来修学院と呼ばれた地に建てられた離宮。下離宮「寿月観」と中離宮の客殿・霞棚を中心に、お散歩目線で記す。

秋晴れの午前。
修学院離宮は幹線道路から離れ、アクセスは正直よくはない。
だが、その距離のお陰で静か。
参観は事前申込制で各回50名。故に混雑もない。静寂でとても素晴らしい。
松並木と田畑の向こうに三つの離宮(御茶屋。下・中・上)が点在するのが修学院離宮の基本構成。
宮内庁 公式
受付を済ませ、まずは下離宮へ。
中心の建物は「寿月観(じゅげつかん)」で、上皇の行幸を迎えるための書院。現在の棟は文政7年(1824)再興という。
質素で端正。


庭側にL字に続く座敷から、苔と槙の緑がすっと入ってくる。
掃除の行き届き方がすごい。苔庭の落ち葉がほとんど見当たらない。この後の生垣もとても整っていた。
寿月観|宮内庁

寿月観から進み、門の外に出ると、田畑のひらけが一気に広がる。
パノラマ感は写真では伝わりづらいが……。

周囲の農地は1964年に宮内庁が買い取り、今も地元農家が耕作を続けることで往時の農村風景を残しているらしい。
稲刈りは終わっていたが、黄金色の季節にも来てみたい。
修学院離宮の棚田

松並木を歩いて中離宮へ。

ここには「楽只軒」と「客殿」が並ぶ。
客殿は東福門院の女院御所・奥対面所を1682年に移築した建物で、書院造の洗練がぎゅっと詰まっている。
写真は左側が「楽只軒」、右側が「客殿」。
客殿の来歴|宮内庁

客殿「一の間」に有名な違い棚――「霞棚」。
雲がたなびくような曲線の棚板で、“天下の三棚”の一つに数えられる名作。
金具の細部も楽しい。
釘隠しには花車(写真を拡大すれば分かる)、女院御所らしい華やぎがにじむ細部が語る。“皇室ゆかり”の品格。
なお、修学院離宮のお土産にもなっている(買った)。
霞棚|宮内庁 小冊子

杉戸には、祇園祭の山鉾や鯉を描いた図もある。
山鉾は「岩戸山」「放下鉾」。この裏側には船鉾が画かれているらしい。(現在は模写。原品は別に保存)
《京都》 御所と離宮の栞 その十六

鯉には金色の網が掛けられ、遊び心のある意匠として語り継がれている。
客殿の意匠解説

客殿の前庭は小川の流れを中心とした苔庭。

網干の欄干(あぼしのらんかん)。
客殿の濡れ縁部分に見られる独特の意匠で、竹を斜め格子状に組んだ形が、漁で使う網を干す姿に似ていることからその名が付いたとされる。
宮内庁|中御茶屋 客殿

後半は上御茶屋と浴龍池へ。
池と市街、山々が一枚の絵になるらしいが……。
京都 修学院離宮を見学してきた(後半)
ピリオドの彼方に
"京都 修学院離宮を見学してきた.." のご意見・ご感想
ひとことお願いします
全て必須項目です。